記事: 移動中の睡眠は「得」か「損」か?論文で読む、揺れと音と短い仮眠

移動中の睡眠は「得」か「損」か?論文で読む、揺れと音と短い仮眠
朝の通勤電車で、たまたま席が空いた日に限って眠くなる。スマホを見ていたはずなのに、気づいたら視界がふわっと暗くなって、次の駅のアナウンスでハッと起きる。
そして毎回思います。「寝たはずなのに、なんでいま頭がぼんやりしてるんだろう?」
移動中の睡眠って、得なのか損なのか。気になって、睡眠の基本を扱う論文と、揺れ・音・通勤・仮眠に関する研究をざっと読み、私なりにメモをまとめてみました。
そもそも睡眠は「気絶」じゃなくて「メンテ時間」

ざっくり言うと、睡眠は「何もしない時間」ではありません。脳が記憶を整理したり、気分の波を整えたり、体の修復や調整を進めたりする時間だと考えられています。
だから、移動中のうとうとでも完全に無意味というわけではない。ただし、どんな眠り方でも同じ効果が出るわけではなさそうです。
眠気は「貯まる眠気」と「体内時計」で決まる

眠気には、ざっくり2つの要素があります。
- 貯まる眠気: 起きている時間が長いほど、じわじわ強くなる
- 体内時計の波: 1日の中で「眠りやすい時間帯」を作る
通勤中に落ちるように眠くなる日は、この2つがちょうど重なっているだけかもしれません。逆に言うと、ここを理解しておくと「いま寝るべきか、耐えるべきか」の判断が少しラクになります。
移動中の睡眠のポイントは「揺れは味方にも敵にもなる」

私の体感でも、特急みたいに「一定の揺れ」でスーッと落ちる日がある一方、各駅停車のガタンゴトンや、人の出入りが多い車両だと、眠ったつもりでも浅いまま終わることがあります。
研究でも、ゆっくり一定の揺れが睡眠を助ける可能性が示される一方で、刺激的な揺れや騒音は睡眠を細切れにしやすいことが報告されています。移動中の眠りは「揺れと音のガチャ」要素が大きい、というのが私の結論です。
通勤は「移動中に眠れるか」より「夜が削れてないか」

移動中に眠いと「移動中に寝ればいいや」と考えがちなんですが、論文を読んでいて一番刺さったのはここです。
通勤が長いほど、そもそも平日の睡眠が短くなりやすいという関連が報告されています。夜が削れているなら、移動中のうとうとで埋め合わせても限界があります。
なので私は最近、「移動中に寝る工夫」より先に、まず就寝時刻を15分でも前に倒せないかを考えるようにしています。
移動中に眠るなら「短い仮眠」を狙う

移動中の睡眠を「夜の代わり」にするのは難しい。でも「短い仮眠」として使うと、けっこう現実的です。
仮眠の研究では、10分の仮眠は起きた直後から眠気やパフォーマンスが良くなりやすい一方、30分だと起きた直後に「寝起きのボヤッ」(睡眠慣性)が出る時間がありました。
私は、移動中にうとうとするなら「10分だけ」を目標にして、アラームを早めにセットするようにしています。起きた直後に仕事や運転がある日は、特にこのほうが安全です。
まとめ(超シンプル)
- 睡眠は「止まる時間」ではなく、脳と体のメンテ時間。
- 眠気は「貯まる眠気」+「体内時計の波」の合成で強くなる。
- 移動中の睡眠は、一定の揺れは味方、強い揺れ+音は敵になりやすい。
- 通勤が長いと、夜の睡眠が削れやすい。まずは夜を守る。
- 移動中は「短い仮眠(例: 10分)」が扱いやすい。
参考(主に論文・公的機関)
- 2過程モデル(総説, PMC): https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9540767/
- 睡眠と記憶(Diekelmann & Born, 2010): https://www.nature.com/articles/nrn2762
- ゆっくり揺らす実験(Current Biology, 2019): https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982218316622
- 列車の揺れ・音(Scientific Reports, 2016): https://www.nature.com/articles/srep24717
- 振動/音の比較(JASA, 2017, PMC): https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5433882/
- 通勤と睡眠(客観測定, PMC): https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5818327/
- 仮眠の長さ(Sleep, 2006, PubMed): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16796222/
- 飛行中の計画休憩(NASA TM, 1994): https://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/19950006379.pdf
- 睡眠慣性の概説(CDC/NIOSH): https://www.cdc.gov/niosh/work-hour-training-for-nurses/longhours/mod7/03.html
※この記事は一般的な情報です。強い日中の眠気が続く、いびきや無呼吸が疑われる等の場合は医療機関に相談してください。



